APIのない業務画面をAIで自動化できる?発注前に決める5つのこと
目次
- APIがない画面にも、自動化の候補はある
- 1.対象画面と、触ってよい範囲を決める
- 2.入力する情報と、迷ったときの扱いを決める
- 3.完了条件を、件数・ID・値の照合で書く
- 4.人が確認する場面と、使う権限を決める
- 5.失敗後は、最後のクリックより保存済みの結果から再開する
- 架空の転記業務を、一枚の依頼書にする
- 試作品は、正常な転記と途中で止まる場合の両方を見る
- 画面操作の自動化で、よく迷うこと
- APIがなくても、どのサイトでも自動化できますか?
- Excelまで完全に自動で更新できますか?
- 非エンジニアは、何を用意して相談すればよいですか?
- どれくらい時間や費用を減らせますか?
- まずは、毎回転記している一つの一覧から相談する
管理画面の数字を、一件ずつExcelへ写している。連携用のAPIが見つからず、結局、人が画面を開いて転記している。そんな作業を、AIに任せられないかと考えることはありませんか。
画面を見て操作するAIは、連携手段の候補になります。ただ、画面を操作できても、必要なデータが揃ったかは別に確かめたいところです。対象を取り違えず、同じデータを二度書かず、止まった後も結果を確かめられる形にしておきたいところです。
私は、いきなり全工程を任せるより、まず一つの一覧から転記候補を作り、人が照合する範囲を提案します。発注前に決めるのは、対象画面、入力、完了条件、人の確認、失敗後の再開の5つです。
導入の判断材料は、公式資料をもとにしています。画面操作のAIを実務で試した報告や、時間・費用を削減した実績ではありません。仕様の確認日は2026年10月5日です。
- 画面操作を検討する前に、CSV出力や既存連携を確認する理由
- AIに触らせる画面・情報・操作の範囲
- 転記が終わったと言える照合条件と、停止後の再開方法
- 架空の依頼書を使い、自分の業務を相談できる形にする方法
APIがない画面にも、自動化の候補はある
OpenAIは2026年9月29日の更新履歴で、Agents APIへのComputer use追加を案内しています。公式のComputer useガイドによると、OpenAI側で動くブラウザーを使い、Webサイトの画面を見て操作する仕組みです。
導入にはAPIを使うアプリの実装が必要です。アプリ側でサイトへのアクセス許可を扱い、アカウントが必要な画面ではログインへの対応も行います。公式クイックスタートには、必要な権限を持つアプリケーションAPIキーなどの準備が示されています。利用できる環境と料金も、着手前に確認してください。
手元のパソコン全体や、デスクトップ版Excelを、そのまま無人で操作できるという意味ではありません。Web画面から情報を取り出す部分と、Excelで使えるファイルへ保存する部分を分け、両方の実現方法を確認しましょう。任意のサイトで、いつでも最後まで動くと保証された仕組みでもありません。
| 今ある手段 | 最初に確認すること |
|---|---|
| CSV・Excelの出力機能 | 必要な項目と条件で出力できるか。出力後の整形だけで済むか |
| 公式API・既存の連携機能 | 利用権限、取得できる項目、費用が業務に合うか |
| 既存の画面操作ツール・RPA | 決まった画面や手順で処理できるか。画面変更時に誰が直すか |
| AIによる画面操作 | 読み取り範囲、確認担当、照合方法、停止条件を決められるか |
出力ボタンがあるなら、まずその機能で必要な一覧を作れるかを見てみてください。使えるAPIがないと分かってから、画面操作を含む方法を比べても遅くありません。
業務全体の目的や利用者から整理したい方は、AIに業務ツールを作ってもらう前の要件整理も参考にしてください。そこから、画面を操作する仕事に必要な条件を足していきます。
1.対象画面と、触ってよい範囲を決める

同じ受注管理画面でも、一覧を読む操作と、受注の状態を変更する操作では影響が違います。まず、開くサイト、対象の一覧、絞り込み条件、触らない操作を書き出してください。
たとえば、受注一覧の指定日分だけを読み、転記候補のCSVを作る。受注の更新、顧客への通知、削除は行わない。ここまで書けば、実装担当は必要な画面と権限を確認できます。
- 対象のサイトと画面名、対象期間、抽出条件を指定する
- 一覧に複数ページがあるなら、対象範囲の確認方法を決める
- 更新・削除・送信など、許可しない操作を明記する
- サイトの利用条件と、業務側で操作を許可できる範囲を確認する
- 画面や列が変わった場合は、進めずに確認担当へ戻す
画面を開く許可があっても、その画面にあるすべての操作を任せてよいわけではありません。操作範囲はアカウントの権限や実行の仕組みでも制限できるか、実装担当と確かめてください。
2.入力する情報と、迷ったときの扱いを決める

転記する項目は、列名だけでなく意味までそろえます。日付なら受注日か発送日か。金額なら税込か税抜か。名前が似ていても、業務で使う値が違うことがあります。
最初の見本は架空データで用意しましょう。元の画面で見える項目と、出力先の列を対応させ、空欄や読めない値をどう扱うかも添えます。
| 項目の例 | 依頼書に書く扱い |
|---|---|
| 受注ID | 文字列として保持する。元のIDと照合し、勝手に番号を振り直さない |
| 受注日 | 画面の受注日を使う。出力形式はYYYY-MM-DD |
| 合計金額 | 画面の税込合計を使う。読めない値や空欄を0円で埋めない |
| 受注状態 | 対象にする状態を決める。似た名前をAIがまとめ直さない |
| 例外の記録 | 対象ID、止まった理由、確認担当へ戻す内容を残す |
どの列か分からない、同じIDが二度出ている、想定外の通知が開いた。そんなときにAIが推測で先へ進むと、後から確かめる材料が減ります。判断できないものは保留にするか、全体を止めるかを、発注時に決めておきましょう。
実際の顧客情報をAIへ渡す段階では、外部送信を許可できる情報、保存先、保管期間、閲覧できる人を確認します。相談の最初から顧客一覧やパスワードを送る必要はありません。
3.完了条件を、件数・ID・値の照合で書く

AIから完了の返答があっても、それだけで転記を終えたことにはできません。元の一覧と出力を照らし合わせて、何を確認できたら終えるのかを先に決めます。
件数だけでは、同じ受注を二度書いて別の受注を落とした場合に気づけません。対象IDが一致すること、重複がないこと、指定した列の値が一致することも合わせて確認してください。
- 対象期間と抽出条件が、依頼書どおりである
- 正常に出力した件数と保留件数を合わせると、対象件数になる
- 正常分と保留分のIDを合わせると、元の対象IDと一致する
- 日付・金額などの指定項目を、元の記録と照合できる
- 保存した候補ファイルを開き直し、確認担当が内容を確かめられる
金額の合計は補助の照合に使えますが、行ごとの金額確認も残してください。行の取り違えがあっても、合計が同じになる場合があるからです。保留分を除いた合計なのかも分けて記録します。
初回は少数の架空データで、確認担当が元の記録と出力の全行を見比べる試験を提案します。対象を増やすときは、照合をどう実装するか、どの例外を人へ戻すかを改めて決めましょう。
4.人が確認する場面と、使う権限を決める

ログインする人、サイトへのアクセスを許可する人、結果を確認する人を決めます。業務上の承認と、サービス側のアクセス許可は、それぞれ必要な確認です。
特に、候補の一覧を作る段階と、既存のExcelへ反映する段階は分けておくと、確認する場所がはっきりします。最初は別ファイルへ出力し、人が元の一覧と照合してから取り込む範囲で相談してみてください。
公式ガイドは、サイトへのアクセス許可が、購入や削除など一つ一つの操作前の確認を強制するものではないと説明しています。確実に人の確認を挟みたい処理は、読み取り専用の権限にする、候補ファイルへの出力と本番反映を分けるなど、実行側の制約として設計してください。
パスワードや認証コードは依頼書に書きません。ログインの扱いは実装担当と決め、ログやAIへの通常の指示に認証情報が残らない方法を確認しましょう。画面に表示された文章や広告を、担当者からの追加指示として扱わせないことも必要です。
5.失敗後は、最後のクリックより保存済みの結果から再開する

保存ボタンを押した直後に通信が切れたら、保存できたのか分からないことがあります。すぐに同じ操作を繰り返すと、二重に書き込むかもしれません。まず、出力先を開いて対象IDと保存結果を照合する手順を決めてください。
実行ごとに作業番号を付け、対象ID、確認できた結果、保留理由を記録します。完了、保留、未処理に加え、保存結果が不明なものも区別すると、確認してから再開する場所を決められます。
| 止まった場面 | 再開前に確かめること |
|---|---|
| ログイン切れ・アクセス許可待ち | 担当者が対応し、同じ対象期間と一覧に戻れたか確認する |
| 列名・画面の配置が変わった | 自動処理を止め、項目の対応と操作範囲を見直す |
| 保存後の返答が届かない | 保存済みのIDと値を確認する。確認できるまで再書き込みしない |
| 同じ処理をもう一度頼む | 新規追加が必要なIDを、保存済みの結果と照合する |
| 時間・費用の上限に達する | 実行を止める条件と通知先、残りの処理の扱いを確認する |
Computer useの公式資料でも、接続が切れた際は同じセッションの状態を確認して復旧し、再接続だけでタスクを送り直さないよう案内しています。ただし、接続の復旧と、業務の転記結果を照合する仕組みは別です。仕事の完了記録は、出力先と合わせて設計してください。
復帰手順には、候補ファイルの保管場所、反映前のExcelのバックアップ、確認担当、どの版へ戻すかも入れます。元へ戻せることを確かめてから、本番反映へ進みましょう。
架空の転記業務を、一枚の依頼書にする
以下は説明用の架空の受注一覧です。実際の顧客データ、稼働中の自動化、検証結果を示すものではありません。ご自身の仕事に合わせて項目を置き換えてください。
| 受注ID | 受注日 | 税込合計 |
|---|---|---|
| A-001 | 2026-09-30 | 12,000円 |
| A-002 | 2026-09-30 | 8,000円 |
| A-003 | 2026-09-30 | 空欄(保留対象) |
この見本なら、正常分は2件、保留は1件です。正常分の合計は20,000円。3件の対象IDを正常分と保留分で確認し、A-003の空欄を0円に変えていないことまで確かめます。これは試験の期待値で、実測した成果ではありません。
【画面操作の自動化・依頼書】
目的:受注一覧から、Excelへ取り込む候補を作る
対象画面:[サービス名・サイト・一覧名]
対象日:2026-09-30の受注日(見本)
対象状態:[実際の業務で選ぶ状態]
対象件数・ID:見本は3件、A-001~A-003
範囲:一覧を読む。別ファイルへ候補を出す
禁止操作:受注更新・削除・顧客への送信
入力:受注ID、受注日、税込合計
出力:正常分CSVと、保留ID・理由の一覧
IDは文字列。日付はYYYY-MM-DD
金額の空欄は補わず保留。0円に変換しない
完了:正常2件+保留1件=対象3件
正常分合計は20,000円。ID重複なし
元のID・日付・金額と全行を照合する
候補ファイルを開き直し、結果を確認する
人の役割:ログイン担当[ ]、確認担当[ ]
既存Excelへの反映は確認担当が判断する
認証方法:別途確認。秘密情報は記載しない
停止:画面変更・対象不一致・重複・保存結果不明
再開:保存済みIDと結果を照合し、担当が判断
結果不明の操作は自動で繰り返さない
記録:作業番号、対象ID、完了/保留/未処理/不明
保存先・保管期間・閲覧者:[ ]
反映前バックアップ・復帰担当:[ ]
試作の時間・利用料の上限:[ ]
未定:サービス規約、接続方法、CSV作成方法
上限で確実に止める方法、保守担当
まだ埋められない欄は、未定のままで大丈夫です。実装担当には、既に決まっている条件、提案してほしい方法、業務側が判断することを分けて返してもらいましょう。
試作品は、正常な転記と途中で止まる場合の両方を見る
発注するときは、どんな見本で何を確かめるかも添えてみてください。候補ファイルを作る段階で確かめられることが増えれば、本番へ移す判断もしやすくなります。
| 試すこと | 期待する結果 |
|---|---|
| 架空の3件を対象にする | 正常2件・保留1件。IDと正常分の値が見本と一致する |
| 対象が複数ページに分かれる | 対象IDの取り漏れと重複がない。範囲を確認できなければ止まる |
| 同じIDが二度現れる | 黙って追加や上書きをせず、重複として確認へ戻す |
| 金額を空欄にする | 0円で埋めず、IDと理由を保留一覧へ残す |
| 途中で保存結果が不明になる | 再書き込みせず、保存先を照合してから再開を判断する |
| 列名や画面を変更する | 違う項目を転記せず、処理を止めて変更を知らせる |
| 読み取り専用のアカウントを使う | 元の受注を更新・削除できないことを、実装担当と確認する |
所要時間を比べたい場合は、手作業の時間と、試作品での処理・照合・修正の時間をそれぞれ記録します。AIが動いていた時間だけで、業務全体がどれだけ短くなったかを判断しないようにしましょう。
画面操作の自動化で、よく迷うこと
APIがなくても、どのサイトでも自動化できますか?
一律には言えません。対象サイトの利用条件、ログイン、画面の変化、操作できる権限を確認します。画面を読む方法が使えても、必要な出力と照合が揃うかは、対象を決めた試作で確かめる必要があります。
Excelまで完全に自動で更新できますか?
Excelへの保存・反映方法も含めて実装を確認してください。OpenAI側のブラウザーを使うことだけで、手元のExcelを直接操作できるわけではありません。最初は候補CSVを作って人が取り込む範囲にすると、元の記録と比べやすくなります。
非エンジニアは、何を用意して相談すればよいですか?
画面名、今の転記手順、項目の意味、欲しい出力、困る例外からで十分です。使う技術やログインの実装は、確認担当と詰めていきましょう。見本は架空データにし、認証情報は含めません。
どれくらい時間や費用を減らせますか?
対象の件数、画面の状態、確認・修正の手間、実装と保守の範囲で変わります。削減量や料金を先に保証せず、少数件での試作と計測から判断してください。
まずは、毎回転記している一つの一覧から相談する
業務整理や小規模な自動化の相談は、詳しい依頼書がなくても大丈夫です。まずは「毎回この作業を繰り返している」という一つの作業から、お聞かせください。
分かる範囲で、次の3点を教えてください。すべてを埋める必要はありません。
- 使っているサービス:名前や、どんな画面を使っているか
- 繰り返している作業:例「一覧の数字をExcelへ転記」
- 作業の頻度や件数:分かる範囲のおおよその目安
顧客の個人情報や実際の業務データ、パスワード・認証コードは送らず、架空の例や文章でご説明ください。内容に合わせて、試せる範囲と確認事項を一緒に整理します。
